自分は定年後に何をしたいのか。自分探しを始めてみると、社外の人や社外からのインプットが極端に少ないことがわかってきました。人脈は、高校・大学時代の友人を除くと、海外赴任経験がたまたま多かったのでその時の交友関係くらいで、それ以外となると、残念ながらなじみの飲み屋で知り合いになった友人くらいしかいません。

また会社以外の情報についてもWEBから入手するくらいで、実際に人に会って話をする機会がなく、残念ながらしみじみ感が伝わりません。なので、どんな人がどんなことをしているのかを無性に知りたくなり、いろいろなセミナーにエントリーして参加してみました。数えたら1年で12回です。
だいたいサラリーマンなので、社長の経験はありません。自分ですべての責任と権限がもった経験はありません。管理職なので多少の責任と権限はありましたが、それも上司の承認が必要なので、100点ではありません。自分で決めらないまま人生を終えるのかな。ちょっとつまらなく思い始めています。じゃあ起業なんて「武士の商い」みたいに投資だけして失敗するのではないか。情報も経験も人脈もないし。そうかもしれませんが、まずは起業とはを知らないと話しにはなりません。

<どんなセミナーに参加してみたか>
まずはどうやってセミナーの情報を得るかです。私はたまたま高校の同窓会に参加するために 「PEATIX」 というアプリをインストールしました。それには、さまざまなイベントが掲載されます。その中から自分の興味があるものを選びます。一度出席すると定期的にメールで案内がきます。私はそこで、同じような年齢50代の人で起業した人のセミナー、兼業副業のセミナー、地方移住セミナー、インバウンドビジネスのセミナー、輸出のセミナー、株式のセミナー、ローカル企業のセミナーなどあまり範囲を定めずどんどん出席しました。コロナ禍になってからは、ほとんどがZOOMを使ったオンラインセミナーです。1年間に出席した12個のセミナーの中で有料はひとつだけで3000円、残りはすべて無料でした。


<あやしいセミナーもある?>
中にはあやしいというか、有料入会目的のセミナーもありました。説明が多少精神論的なものはそういう感じがありましたが、入会しなければよいので私はそこは問題ありませんでした。彼らも無料のセミナーで募集をかけて多少の歩留まりは計算していると思います。でも有料の入会のものでも真剣にその活動に取り組めば、収益を得ることも可能なのかなと思うようなものもありました。たとえば、日本製品を海外に売る商売の話を聞きました。とても熱心に論理的に説明されていて、その仕事に興味を感じて真剣に取り組めば入会して自分に投資するのもあるかなと思いました。
<兼業 副業 プロボノという言葉を知っていますか?>
そんな状態で、たまたま「ふるさと兼業」という岐阜のNPOがやっているセミナーに参加してみました。200人近くの人が永田町に集まったでしょうか。私みたいな50代は数人でした。私には、「だいたい兼業って、土日にバイト感覚でやるもの?」「稼ぎが足りない人の内職?」ぐらいの知識しかなく参加しました。そこで聞いた話は、一流企業に勤めながら、地方の旅館の立て直し、地方の酒升の輸出プロジェクトに参加するなどわくわくする話しばかりでした。仕事って一つじゃないんだ。定年後もいや今でも複数やればいいじゃん。自分の経験値がアップデートされた瞬間でした。その中で一人の方が、自分の経験談を話し始めました。「私の会社は兼業禁止なので、プロボノでいくつかのプロジェクトを経験しました。」プロボノ? 初めて聞く言葉でした。副業・兼業・プロボノの3つを自分なりに理解した定義は次のようになります。
<兼業>:本業と勤務時間を分けて、業務を行うこと。副業との線引きはあいまい
<プロボノ>:本業のスキルや経験を活かして、企業をサポートする。基本無報酬だが、交通費の支給などがある場合がある。
<プロボノ>これだ!兼業 副業禁止とかであきらめることはなかったんだ。こういう世界が既にあり、チャレンジしている人がこんなにいるんだ。それは、新しい発見でした。


<たくさんのセミナーに参加して、自分探しの道が広がった>
何か同じ会社で同じような仕事で同じようなメンバーと代わり映えのない仕事以外の道も 探せばあるんじゃないか と思うようになりました。最初は起業で0からのスタートしかないと思っていましたが、副業や兼業やプロボノなどいろんな仕事の組み合わせもありそうで、やりたいことと自分のスキルとうまく組み合わせる定年後の人生もありだなというのが見えてきました。セミナーに知り合った30代の女性は、兼業を4つ兼ねていて、名刺も4枚お持ちでした。そうした仕事をしながら、収入≧支出が長く維持できればこれは 楽しい老後が迎えられそうかも というのが今少し見えてきたオプションのひとつです。
