日本語教師の資格を取るためには3つの方法がありますが、そのうちの一つが「日本語教育能力検定試験」に合格することであり、その試験は毎年10月ごろに行われます。日本語文法や教育法、日本語音声などの選択問題に加え、毎年1問記述式問題が出題されます。記述式問題は選択問題と勉強方法と異なるため、どう勉強すればよいか悩ましいですし、試験前はどうしても全体の91%を占める選択問題の勉強に時間を取られることで、後回しもしくはぶっつけ本番になるという人も多いと思います。実は自分は2019年に受験したのですが、日本語教師養成講座の模擬授業準備とそのテスト対策に時間を取られ、ほとんど受験勉強する時間もなく試験に臨むこととなり、記述式は未対策のままで検定試験そのものは撃沈をしました。そして2020年は海外駐在していることでコロナによる帰国機会・受験機会を逃しました。ピンチはチャンスを合言葉に、コロナで帰国・受験できなかったことを良い機会として、2020年ー2021年にじっくり記述式の対策を打つ時間を持つことができました。これから記載するのは、私の成功体験(だいたい成功していない)ではなく、自分が見つけた記述式問題への対策の紹介です。これで満点取れるかはわかりませんが、この方法で自分は受験対策を進めていきたいと思います。
日本語の先生になる検定試験は、ハードルが高いんですね。でもチャレンジしてみたいです。
試験時間は足りないくらいなので記述式に時間をかけられない。
日本語教育能力検定試験は、Ⅰ:90分、Ⅱ:30分、Ⅲ:120分の3つのパートに分かれており、記述式はⅢの中に入っています。Ⅰ、Ⅱの後に昼食をはさむとはいえ、Ⅲのテストを受ける頃には相当疲れも溜まっており、記述式は時間と疲れとの闘いになってしまいます。試験は日曜日なので、明日も仕事だなどを考えると疲れも倍増します。
私はほとんど記述式の対策を打たないで本番に臨みました。唯一やったこととえいえば、問題文の内容を再度書くことで「ちゃんと読んで解答してますよ」という意思表示くらいでした。試験が終わったあと解答を集める時に、ちらっと他の人の解答に目をやると最後まで書けていませんでした。やはり時間が足らずに後回しした結果なのだなと思った次第です。よって私は不合格の通知をもらってから、次回の受験まではきちんと時間をかけて対策を打とうと思った次第です。
自分の「文章構成パターン」さえ持っていれば、不安はない。
記述式の配点は20点でもちろん採点方法はOPENになっていませんが、通常記述式は採点のばらつきをなくすために減点法を取ると思われます。いろいろな本や人の意見を総合するとだいたい下記の5つの分類されます。
①一貫性のある意見
②読みやすい構成
③説得力のある自分の意見
④質問を理解して質問に答えているか
⑤基本用語を理解して使用しているか(誤字脱字含む)
この中で①②③は、正しい文章構成のパターンがあれば、自ずとある程度方向性のある文章を書くことができると考えました。また一番時間がかかり悩ましいのがどういう構成にするかであり、またこれが整理できない状態で書き始めると、いかに重要なKEY WORDを含んでいてもまた誤字脱字がなくても、採点者にとって正しく読みやすい文章と思えるものは書けません。
私は、問題集を自分で解いてみて、その後模範解答を書き写しながらそのパターン化を整理していきました。そして下記のパターンで進めればだいたい80%くらいはカバーできそうだということが見えてきました。そうすることによって記述式問題にかける時間と不安を大幅に削減できることができそうです。
質問をきちんと理解しにきちんと答える。
上記の④の採点基準に「設問をきちんと理解して解答しているか」というのがあると思います。確かにいきなり書き始めると自分の思いが優先してしまい、いつのまにか設問から書き離れた自分の論説文になることがあると思います。
だからといって、以前に対策した「設問をもう一度そのまま書く」というのも模範解答を写しながら、ちょっと違うような気がしてきました。そこで考えたのが、設問や聞かれていることを「~とは」で書き始めるというやり方です。そうすることで設問への自分の理解をうまく表現することができます。
パターンかの鍵は、接続詞などの定型語。
文章の構成として解答を次のようにパターン化にしてみました。そしてそのパターンに合うように自分の意見やKEY WORDを当てはめて行けば、短時間でほぼほぼ及第点の文章が書けると思います。
①まずは、設問を理解していることを示すために設問を「~とは」で自分の理解を説明します。そうすることによって、設問にそった文章を書くことができます。
②そして最初に結論めいたものを書きます。「どう考えますか」には「私は~と考える」で最初に言い切ってしまいます。最初にこの2つを書くことで設問からそれることはないと思います。
③その理由を後に述べます。英語でいうBECAUSEですね。自分の考えのベースとなる背景をKEY WORDを織り込みながら文にしていきます。「なぜならば」で始めると文章が繋がります。
④理由付けの重みを増すために、第2の理由を書くこともあると思います。その時の接続詞は「また」です。
⑤説明の説得力の「ダメ押し」として具体的な説明やサマリーがあるといいです。その時の接続詞は。「したがって」や「具体的には」です。
⑥自分の考えのポジションを強めるには、違う意見への反論があると効果的です。なのでまずは異なる意見にどういうものがあるのかを紹介するといいです。その時には使う接続詞は「一方」です。
⑦最後に自分の考えを再度整理します。反論を考慮した妥協案や柔軟性などを織り込んだ授業の進め方を説明すると効果的です。その時には、「考慮した上で」とか「柔軟に」などを具体的な事例とともに説明すると説得力が増します。
下記に設問を作ってみて構成を整理してみました。
<設問例>
「ら抜き言葉」の氾濫に対して自分の考えと授業の進め方について述べなさい。
構成 | 定型ワード(接続詞等) | 具体例 | |
1 | 課題の説明 | ~とは、~である。 | ら抜きとは、食べられるを食べれるというような「ら」を抜いた 最近使われてい言葉である。 |
2 | 結論 | と考える。 | 私は、積極的に使って教えていきたいと考える |
3 | 理由1 | なぜならば | なぜならば、言葉は時代とともに |
4 | 理由2 | また | また、ビジネスなどのフォーマルな場でも |
5 | 肉付け | したがって、具体的には | 具体的には、「食べられる」のように「ら」を入れた言葉を正しい日本語として教えるとともに「食べれる」 |
6 | 反論 | 一方 | 一方、日本語の乱れを心配する意見もある。 |
7 | 妥協案 | 考慮した上で、柔軟に | 正しい日本語を時代の変化を考慮しながら、 |
整理してみると読みやすい文章構成にするには、「接続詞」をうまく使うことです。よって本番に備えて、この「接続詞」使って文章構成パターンを覚えておけばなんとかなりそうな気がしてきました。
この構成で80%はカバーできる。あとは応用で対応する。
もちろんこのパターンで全部の設問に対応できるわけではありません。たとえば設問があなたの考えや授業への反映などではなく、ただ単に「良い点悪い点を述べよ」みたいな設問の時は、この文章構成パターンがそのままあてはまりません。
ただ、このパターンを設問にあわせて修正し、応用することである程度はカバーできると思います。なによりこのパターンを身につけておけば、テスト中に記述式問題に対して短時間でかつ不安なく対応できることが大きなメリットと思います。私はこのパターン化を身につけた後は、学習時間を選択問題対策にかけていこうと思ってます。
記述式は、過去問を解くだけが対策だと思っていたから、このパターン化は自分でも応用してみよう。
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